MiCD SMILE CIRCLE MEMBER
Interview

開業までの経緯と、開業から大切にしておられることをお教えください。
大学卒業後は、母校の補綴学第一講座(有床義歯を専門)に19年間在籍し、臨床・教育・研究に携わりました。その後、1年間勤務医として勤めた後に開業しました。現在、歯科医師非常勤2名、歯科衛生士3名、受付1名、事務1名の合計7名のスタッフとともに、開業時に掲げた「大学病院と変わらない診療を地域の皆さまに広く提供し、信頼できる歯科医療をもっと身近に」という理念のもと、日々診療を行なっています。
松風が展開をサポートする「MiCD」のコンセプトは私の治療方針と一致しており、「MI」に「CD(Cosmetic Dentistry)」を組み合わせた表現を見たときには、「なるほど、そのような表現があったか」と感心しました。
開業時から私が大切にしていることの一つに、「メタルインレーにしない」というのがあります。開業して7年が経ちますが、メタルインレーの形成・装着は2症例に止まっています。そのほか、患者さんの希望でやむなくセラミックスインレーを選択したのが4症例ありますが、患者さんの同意が得られるならばできるだけ侵襲の少ない治療方法を選択しています。
また、当院のホームページの「審美歯科」の治療概要説明には、「当院では銀歯による修復は行いません」と書き、メタルインレーとコンポジットレジンの治療の比較を、患者さんにわかりやすく伝えています。開業前にはメタルインレーにする症例が多くありましたが、天然歯に勝るものはないため、できる限り歯質を残すべきだという思いはずっと抱いていました。また、接着技術は向上しているうえ、コンポジットレジンは十分咬合に耐える強度を持っているので、充填材料に対する信頼も置いていましたから、ほとんどのう蝕はコンポジットレジン修復できると確信していました。ですから、私が開業したときには「可能な限りコンポジットレジンで修復する」と決めていました。開業当時の私の修復を見ると、「下手だったなあ」と思いますが、未熟であったにもかかわらず、強い意志を曲げずにコンポジットレジン修復にチャレンジしていたこと、またそれを現在も継続していることを誇りに思います。
現在では、歯科大学の実習の中に2級窩洞のコンポジットレジン修復が取り入れられていますが、7年前はコンポジットレジンによる2級窩洞の修復は広まっておらず、ハンズオンセミナーで手順をしっかりと学ぶ場などありませんでした。そのため、猪越重久先生が発表された書籍などを参考にして、日々鍛練し、色調再現のためのペーストの色調選択や積層する厚さ、解剖学的形態を付与する感覚を養っていきましたね。現在は、症例を見ればすぐに判断でき、短時間で修復できるようになりました。
ご愛用いただいているGiomer製品はありますか。
MSCメンバーにお送りしている記念品。メンバー登録証と治療説明ツール「あなたの歯を一番に考えた治療のはなし」「当院の治療方針―すべては、患者さんのために」は、待合室のソファの正面に置いてくださっていました。
MiCD推進ポスターは、ソファの上に掲示してくださっていました。
2012年10月に仙台で開催された松風歯科クラブ臨床講座「MiCDコース(講師:松本勝利先生/高﨑智也先生)に参加してから採用したのは、PRGバリアコートとフルオロボンド シェイクワンです。フルオロボンド シェイクワンは深い窩洞に使用しており、経過は良好です。PRGバリアコートは、適用できる症例に幅がありますので、小児からご高齢の方まで、さまざまな年齢の患者さんのう蝕予防に役立つと期待しています。しかし、薄く、素早く、多くの歯面に塗布するコツを掴むには、もう少し時間がかかりそうです・・・(笑)。
IPテンプセメントは、インプラントの上部構造体の仮着に最適ですね。今では、すべての仮着でIPテンプセメントを使っています。被膜が薄いことと、仮着してから30秒後に水銃で簡単に余剰セメントを除去することができること、何よりもよくくっ付くところがよいですね。これまで気を留めていませんでしたが、歯肉の治癒において良好な経過がみられたという先生がおられるそうなので、その点にも注目して今後も使用したいと思います。(※)
私はフロアブルレジンでの築盛があまり得意ではないので、比較的大きな窩洞のコンポジットレジン修復はペーストタイプで充填しています。コンポジットレジンは、2012年度デンティストサークル会員の提供製品としていただいたビューティフィル E ポステリアがとくに気に入っています。臼歯部の充填に適したペースト性状がよいと思います。また、臼歯部用なのに色調にOTがあることに驚きました。前歯部よりも色調の正確な再現性があまり強く求められない臼歯部の修復において、エナメル色のOTをよくラインナップされたと思っています。なお、ビューティフィル E ポステリアのOTを積層充填したところ、辺縁隆線の審美性を容易に付与できるようになりました。そのほか、最も流動性の低いビューティフィル フロー プラス F00は、辺縁隆線の仕上げに使っています。ペーストが垂れることなくピタッと止まるので、形を作るのに最適です。
これまでご参加いただいたMiCDおよびGiomerに関するセミナーのご感想をお聞かせください。
院長室にて。たくさんの書籍、資料を一緒に見ながら、お話させていただきました。「この材料はどうなんですか?」とたくさんのご質問をいただき、松風に対する温かいご意見も、厳しいご意見もいただきました(笑)。
昨年10月の臨床講座は、当院の歯科衛生士3名も一緒に聴講させていただきました。この回のテーマは、Giomer製品を用いて実践されている予防歯科・審美歯科でした。Giomer製品の臨床的有用性がよくわかり、高﨑智也先生が動画を交えて手順を示してくださったPRGバリアコートの使い方が勉強になりました。歯科衛生士からは、松本勝利先生がワークを交えて解説してくださった咬合面の解剖学的形態とコンポジットレジンの充填方法が参考になったと聞いています。それまでは、なんとなく充填して形成を私に任せていたようですが、完璧ではないものの松本先生が教えてくださった手順を思い出しながら、裂溝や窩の位置を頭の中に描いて充填をしているようです。それが、スムーズな診療につながっていると感じているようですよ。
先日参加させていただいたMiCD SMILE CIRCLE メンバーミーティング仙台会場(講師:寺田林太郎先生)は、とても有意義な時間になりました。松風社の研究開発の方からS-PRGフィラーに関するさまざまなエビデンス、学会発表が聞けたのはもちろん、今後のGiomer製品群の製品展開を聞けたのがよかったです。また、寺田先生から見たGiomer製品の有用性、症例のご提示があったのもよかったです。最後のディスカッションでは、いくつか質問をさせていただいて、松風社の研究開発部の方からも、寺田林太郎先生からも、また参加者の皆さんからもご意見をお聞かせいただけたので参考になりました。今後もこのようなサークル活動を継続していただけるとうれしいです。
(※)使用者本人の感想であり、効果を保証するものではありません。