MiCD SMILE CIRCLE MEMBER
Interview

開業までの経緯をお教えください。
患者さまと良好な関係を築くための工夫「①応対マニュアル」。当たり前のことでも明文化し、全員が同じ対応ができるようにすることが大切ですね。
大学卒業後は、母校の歯周病科に勤めた後に勤務医になりました。結婚を機に退職し、歯科医療から離れることに決めたのですが…。
家事と子育てが中心の生活の中、親族が個人病院を開院することになり、専業主婦をしながら、開院の準備や開院後のサポートをするようになりました。しばらくして診療部門に「歯科」を設けることになり、そこで再び歯科医療に携わることになりました。私はあくまでも診療のサポート役に徹し、他の方が担当医を務めてくださっていましたが、「自分で診療したい」という想いが日を追うごとに強くなり、開業しました。
そんな熱意だけを携えて、ブランクが4~5年あっての開業でしたから、ご想像のとおり大変でした。「自分が持っている過去の技術・知識」と「進んだ技術・知識」のギャップ、思うとおりに行かない治療・・・正直、始めの3年間はとても辛かったです。患者さんを目の前にしながら思うとおりに進められないというのは、とても心が痛く、悩みました。しかしながら、患者さんは来てくださっていたので、診療を続けることができましたから、同級生に来てもらい診療してもらったり、あらゆるセミナーに参加したりして、一から勉強し直しました。患者さんや同級生、スタッフの支えのおかげで、3年くらい経ったときには、失いかけた自信を少しずつ取り戻し、自分の目指す診療のカタチが徐々にできあがってきました。
患者さまと良好な関係を築くための工夫「②患者さんへの説明用歯式(左:記入前/右:記入後)」。客観的にご自身の口腔内を見てもらうことができ、治療計画を立てるとき・説明するときに活躍するそうです。
それから時が経ち、今年で20周年を迎えることができました。先日、ここまで続けてこられた「強み」についてスタッフと一緒に考えてみたんです。もちろん、歯科医療従事者として一定のレベルで治療をすることは当たり前ですから、「患者さんとのコミュニケーションがしっかりと取れているから来てくださるのだろう。当院の強みはそこにある」という結論になりました。遠いところへ引越されても通ってくださったり、勤め先から近いということで来院されていた方が退職されても来てくださったり、お子さん達は遊びに来る感覚で来られたり。患者さんとの距離が近いことが当院のよさだと考えています。
歯科衛生士1名、歯科助手2名のスタッフとともに、女性歯科医師として、アンチエイジングを見据えた診療、たとえばホワイトニング、表情筋や舌のトレーニング、姿勢、だ液、口臭などのお話を盛り込み、仕事を続けていきたいと思っています。
MSCメンバーミーティング 福岡会場にご参加されていかがでしたか。
皆さん明るくてとても親しみやすい方でした。地域の方に愛される理由を実感しました。
高﨑智也先生のお話で最も印象に残ったのは、3種類のボンディング材の使い分けでした。症例によって使い分け、メーカーの指示どおりに正確に使う。加えて松風社の研究開発部の方からも説明があり、それぞれの特長を正しく発揮させるためには、症例によって使い分けることが大切だということがよく理解できました。当たり前のことですが、深く考えずないがしろにしてきたことを見直す、よいきっかけを与えていただいたと思っています。
Giomerの特長については以前から知っていましたし、PRGバリアコートやIPテンプセメント、フルオロボンドⅡ、ビューティフィルシリーズなどはMSCメンバーミーティングに参加する前から使っていました。参加してから使うようになったのは、深い窩洞の修復処置で用いるフルオロボンド シェイクワンですね。それまでは、フルオロボンド シェイクワンというものがあるということさえ、知りませんでしたから・・・(笑)。
大人数の講演会とは違って、松風社の方と臨床家からお話が聞けて、質問がしやすい少人数でのミーティングはとてもよい企画ですね。次回の開催を楽しみにしています。
ご愛用いただいているGiomer製品はありますか。
お使いいただいているPRGバリアコート。矯正治療では、ブラケットの周りなど手入れがしにくいところに塗布されているそうです。
Giomer製品のよさは、「これまで日常使っていた製品に機能が付加されている」というところだと思います。これまで築いてきた診療の流れを変えることなく、導入できるのがよいですね。材料に「価値」を与えて患者さんの健康に寄与しようという松風社の想いはきっと通じますし、これからも広まっていくと思いますよ。
仮着用セメントは、以前、松風ハイ‐ボンド テンポラリーセメントを使用していました。現在は、自費診療やプロビジョナルに限らず、すべての仮着でIPテンプセメントを使用しています。とくに、補綴装置などを撤去した後に、色調変化がなく「キレイ」なのが気に入っています。
高﨑先生もご愛用されているPRGバリアコートは、これまでにない新しいコンセプトの材料でしたが、診療の流れを変えるストレス以上に、材料の特長が素晴らしいので採用しました。フッ素を定期的に塗布して経過を観察してもなかなかホワイトスポットが消失しないお子さんがおられたので、「PRGバリアコートでなんとかならないだろうか」と思ったのが、採用したきっかけでした。定期的に管理して清掃・塗布を繰り返し、ご自宅でもフッ化物イオンを多く含むペーストを使ってケアをしてもらいました。結果、ホワイトスポットは消失したので効果を実感しています。 また、知覚過敏症状を緩和する作用もあるのもよいですね。知覚過敏症状がある部位は、歯磨きしにくいためプラークが付着しやすく、カリエスリスクが高くなります。また、沁みるのでフッ素塗布も難しいですから。知覚過敏症状を緩和することができるうえ、Giomer製品の特長であるフッ素リリース&リチャージ機能や酸中和能などが発揮されるのは、よいと思います。
最近の患者さんの傾向や大切にされていることをお教えください。
Giomer製品の特長を患者さまにわかりやすくお伝えするGiomerサイトをご活用いただいています。待合室には「Giomer de 治療ポスター」を掲示されています。
小児に焦点をおいて考えると、永久歯先天性欠如のお子さんが増えたように思います。難しい症例も増えていますから、これからも学び続け、対応できるように準備をしておかなければなりません。
また、十数年前は、お母さんが付き添われることが多かったのですが、最近では土曜日にはお父さんが付き添われたり、ご夫婦で付き添われことが増えました。共働きの家庭が増えてきていることと、育児にかかわろうとされるお父さんが増えたのが理由だと思いますが、子どもの口腔内に関心を持つ親が増えたのは、とてもよいことだと思っています。
しかし、いつでも簡単に情報を収集できる世の中になったことと、メディアが健康に関する情報をよく報じるようになったので、テレビを見ては過剰に心配される方も増えています。悪いところだけ印象に残りがちですから、専門知識のない患者さんが誤解されていることもあります。そのため、適切にアドバイスができるよう、メディアで報じられたこともチェックするように心がけています。
歯科医院は選ばれる時代になったと考えているので、先ほどお話したコミュニケーションをしっかりと取ることはもちろん、さまざまな情報を提供していくべきだと思っています。患者さんが健康に、そして人生を豊かに過ごしていかれるために、歯科に関することはもちろん、歯科以外のことでも積極的に学びに行き、ご提案していきたいと思っています。