MiCD SMILE CIRCLE MEMBER
Interview

開業までの経緯をお教えください。
手先の器用さを活かして人の役に立ちたいと考えたときに、医師の中でもっとも身近であり、患者さんと距離が近いのは歯科医師だろうと考えて志しました。九州大学 歯学部を修了し、付属病院で歯周治療・インプラント治療・口腔外科・全身管理を中心に研修を受けました。そのまま付属病院で歯周治療などの外科処置を中心に担当した後、熊本市内の歯科医院に3年間勤務し、開業しました。技術と経験を蓄えながら、よい物件があればタイミングをみて開業しようと考えていましたが、開業するまでの期間は短かったですね。最寄り駅の名前は「光の森」。その近くの「にじの森」というニュータウンの一角に、縁あって開業しました。患者さんは若い方と子どもが多く、予防や審美治療の需要が比較的多いです。
医院の設計、スタッフの採用、材料・器械を一から揃える開業は本当に大変でしたが、これまでお世話になった方々から得たことを大切にしながら、そこに私の想いをプラスした歯科医院が少しずつカタチになってきました。歯科衛生士1人、歯科助手2人、受付1人、そして私を含めて5人と小さな歯科医院ですが、私たちだからこそできる敷居の高くない、「患者さんが楽しみに通える歯科医院」をつくって行きたいですね。
Giomer製品を知られたきっかけを教えてください。


ご愛用いただいているGiomer製品。スムーズな診療ができるよう、整理整頓されていました。また、一目でわかるスタッフさんの工夫も拝見しました。
開業が決まった頃、一度に多くのメーカーの製品が確認できる九州デンタルショーがあったので、松風ブースにも立ち寄りました。そこで、松風社の方に「フッ素イオンのリリース&リチャージ」や「抗プラーク付着性」など、Giomer製品の特長を教えていただいたのがきっかけです。勤務医は材料の選択には深く関わりませんから、「え?! こんなに患者さんにとってよい材料があったの?! 」と驚きました。その場で松風歯科クラブに入会し、当時の会員特典(提供製品)だった「ビューティセム SA」をいただいたことから、Giomer製品とのお付き合いが始まりました。
その後、他メーカーが開催したコンポジットレジンのセミナーに参加したとき、青島徹児先生(埼玉県開業)や松本勝利先生(福島県開業)が、「松風社のビューティフィルシリーズは、プラークが付着しないなどの機能があります。」と紹介されていました。日頃から松風社のコンポジットをお使いで、効果を感じておられるのだと思い、すぐにビューティフィルシリーズやフルオロボンドⅡを採用して確かめました。診療では、必ずマイクロスコープかルーペを装着するので、Giomer製品の効果がよくわかりました。ビューティフィルシリーズで修復した部位は、プラークの付着が明らかに減り、歯肉の状態が改善し、他メーカーのコンポジットレジンとの差を実感できました。拡大して確認するとよくわかるので、ビューティフィルシリーズをお使いの方は、ぜひ修復後の部位をルーペなどで確認していただきたいですね。

「こうして、治療後の修復部位をきちんと拡大して患者さんにお見せすると、患者さんの反応は全然違いますよ。」と、ご愛用いただいているアイスペシャルC-Ⅱを見せていただきました。
また、修復直後に患者さんに確認していただくときは、鏡ではなく、歯科用口腔内デジタルカメラのアイスペシャルC-Ⅱを使用して、拡大してお見せしています。私が処置時に拡大して見ていた同じ状態で患者さんにも見ていただくのです。確かにチェアタイムは長くなるうえ、私自身にプレッシャーがかかりますが、鏡で“なんとなく”見ていただくよりも、患者さんに高い安心感を与えることができます。
MiCD SMILE CIRCLE MEMBER MEETING(福岡会場)に参加されたご感想をお聞かせください。
福本敏先生(東北大学大学院 教授)のご講演はとても勉強になりました。研究者としてしっかりとしたデータをお持ちである一方で、臨床家としても多くの症例をお持ちなので、理論と実際がリンクして大変納得できる内容でした。とくに参考になったのが、「正しく手順を踏んで使用すれば脱落しない」というシーラントの前処理と処置中の注意点です。このミーティングの終了後、すぐにビューティシーラントを採用しました。勤務医のときには、A社のシーラントを採用していましたが、キャップを外すとダラダラとペーストが出てきたり、そのペーストの排出量が多いのでダイレクトに填塞できなかったり、填塞後の脱落が多かったりと困った記憶があります。開業後は、B社のエッチング処理を必要とするシーラントを採用しましたが、ペーストの流れはよかったものの脱落が多くて困っていました。そこで、このミーティングを機にビューティシーラントに切り替えたのです。ダイレクトに填塞しやすいうえにチェアタイムが短く、また、セルフエッチングプライマーなのはよいですね。すぐに処置が終わるのは、“歯医者嫌いの子にならない”大きなポイントなので、子どもの患者さんが多い当院にとってはありがたいことです。
ビューティシーラントにも、脱落する症例は確かにありますが、数は多くありません。福本先生の見解のとおり、そのようなお子さんは歯面の耐酸性ができているためだと考えます。脱落後、再度填塞しても脱落する場合は、フッ素塗布や清掃指導などの予防管理に切り替えています。もちろん、保護者の方にも、脱落した理由と今後の予防管理についてお話しし、納得・安心していただいてから進めています。
ホームページには先生の想いや、使用されている材料のことなどが掲載されていますね。
MIのことはもちろん、「虫歯を除去した後に詰めるプラスチック(コンポジットレジン)は、フッ素徐放性のあるこだわりの松風社製(日本)を採用しています。詰め物に歯を強化するフッ素が配合されていますので、虫歯の予防効果が期待できます。全力で虫歯の再発防止に努めます。」と掲載しています。今では、Giomer製品に限らず、当院の材料・器具には松風社の製品が多くなりました。そういえば、ホームページをご覧になられた患者さんが遠方から来院され、メタルインレーをコンポジットレジンに変えて、見た目の美しさを手に入れたいと来院されたことがあります。

一目見て、その場で購入を決定されたというMiCDインスツルメント(手前2本)。臼歯部の自由診療時にビューティフィル E ポステリアと併せてお使いいただいているそうです。
このような場合、二次う蝕でない場合は自由診療になることをお伝えしたうえで、臼歯部はビューティフィル E ポステリアを使用し、MiCDインスツルメントで解剖学的形態を付与して修復しています。患者さんには、大変よろこんでいただいていますよ。
日常のう蝕処置では、できる限り直接法のコンポジットレジンで修復することを心がけています。現在のコンポジットレジンと接着材料のシステムを適切に使用すれば、メタル修復の割合は確実に少なくなります。もちろんチェアタイムは長くなってしまいますが、健全歯質を残し、審美修復も達成できるので患者さんにはとても喜んでもらえます。さらにビューティフィルシリーズの使用で、二次う蝕への抵抗性が期待できます。
患者さまと信頼関係を築かれるうえで、気をつけておられることはありますか。

受付のカウンターの下には、MiCDコンセプト(左)とGiomer de 治療ポスター(右から2番目)が置いてありました。待合席のソファーに座ると目線の高さと合うので、カウンターの下でも患者さまからよく見えるようです。
開業してまだ1年を越えたところなので、当院の患者さんはもちろん、どこかの歯科医院に通われていたわけです。初診で患者さんのお話をお聞きしていると、「治療の内容を説明してもらえなかった」「自分の要望を聞いてもらえなかった」など、治療内容よりもコミュニケーションの問題が大きいような印象を受けています。まずは、時間をとってしっかりと患者さんのお話を聞くこと。そして、こちらが考える適切な治療方法と選択肢を丁寧に説明することを大切にしています。
また、患者さんと私たちのどちらが上ということはなく、対等な関係だと考えていますから、仰ることをすべて受け入れるのではなく、信用していただけていると実感が持ててきたら、よくないことはよくない、無理なことは無理、とはっきり伝えています。とくに、無断の予約キャンセルについては厳しくお話しますね(笑)。それでも、「来ます!来ます!次からちゃんと来ます!」と言って、予約時間を守ってくださるようになります。ニュータウンなので、現在は若い方と子どもが多い当院ですが、そんな皆さんと一緒に年を重ねられるように、信頼関係で結ばれた長く愛される歯科医院になりたいですね。