TCFDに基づく情報開示

当社グループは、「創造的な企業活動を通じて世界の歯科医療に貢献する」という企業理念のもと、ステークホルダーと協働しながら、企業活動を通じて 社会課題の解決に取り組み、中長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現を目指しており、基本的な考え方として次の方針を定めております。

  • 人々のQOL向上への貢献
    社会や市場のニーズを的確に捉え、安全安心で高品質な製品・サービスを提供するとともに、製品や歯科医療情報などの情報提供を適切に行い、 世界中の人々のQOL(クオリティオブライフ)の向上に貢献してまいります。
  • 地球環境に配慮した企業活動の推進
    地球環境との調和を図り、環境に対する社会的責任を果たすため、企業活動における温室効果ガス排出量の削減、廃棄物の削減と再利用の推進などに取り組み、脱炭素社会・循環型社会の実現に貢献してまいります。
  • 企業価値の向上を支える経営基盤の強化
    コーポレート・ガバナンス、コンプライアンス、リスクマネジメントの充実を図り、誠実かつ公正な企業活動を行うことにより、企業価値の向上を支える経営基盤の強化を図ってまいります。
  • 働きがいのある組織文化の醸成・人材づくり
    “人材こそが新たな価値を生み出す源泉”“個々の役割の総和が会社の価値”という考えのもと、その多様性を尊重し、各人に学びと成長の機会を提供することで、松風グループの一人ひとりが持てる能力を最大限に発揮し、活き活きと働くことができる組織文化の醸成と労働環境を実現してまいります。

地球環境に配慮した企業活動の推進の1つである気候変動への対応につきましては、TCFD提言に沿った取組みと情報開示を進めてまいります。

ガバナンス

  • 当社グループでは、社会課題の解決による持続可能な社会の実現と、中長期的な企業価値向上の両立を図ることの重要性が高まる中、サステナビリティの観点を踏まえた経営を推進していくため、2021年12月に代表取締役社長 社長執行役員が委員長を務める「サステナビリティ委員会(原則年2回開催)」(以下、「委員会」という。)を設置いたしました。
  • 委員会では、サステナビリティ関連のリスク及び機会を踏まえ、サステナビリティの基本方針や戦略・計画の策定、目標とすべき指標の設定等について審議を行うとともに、取組状況のモニタリング等を実施し、年1回以上取締役会に報告や提言を行っております。
  • 取締役会はサステナビリティ全般に関するリスク及び機会の監督に対する責任と権限を有しており、常務会及び委員会で審議された内容の報告を受け、当社グループのサステナビリティのリスク及び機会への対応方針及び実行計画等についての審議・監督を行っております。
  • サステナビリティ委員会事務局(以下、「事務局」という。)を設置し、委員会の運営事務を担うとともに、各種委員会と連携しサステナビリティ施策を展開・推進しております。事務局では、委員会で取り上げる議案の取りまとめ、委員会からの指示に基づく必要な社内調整など、サステナビリティ施策について、実務レベルでの協議・推進を図り、委員会に報告を行い、指示を受けております。
  • 目標・計画の策定、重点取組課題の選定、計画に対する進捗は適宜確認し、リスクと機会及び財務への影響をステークホルダーに開示してまいります。
  • 組織体制は下図のとおりです。

コーポレートガバナンス体制

戦略

シナリオ分析
  • 当社グループでは、2100年における世界の気温上昇が1.5℃上昇、2℃上昇、4℃上昇の世界観を想定し、2030年及び2050年におけるシナリオ分析を実施いたしました。
  • 初年度は対象を当社及び当社国内子会社に絞り、シナリオ分析を進めました。今後順次、当社海外子会社にも展開してまいります。
  • 以下に示す政府機関及び研究機関で開示されているシナリオなどを参照して、重要度の評価及び財務影響の分析を実施しております。

    • IEA 「World Energy Outlook 2022」 (2022年) NZE2050 / APS / STEPS
    • IPCC 「AR6」 SSP1-1.9(1.5℃シナリオ) / SSP1-2.6(2℃シナリオ) / SSP5-8.5(4℃シナリオ)
リスク及び機会
種類 リスク及び機会の発生する要因 具体的内容 2030年の財務影響
1.5℃
(2℃)
4℃
移行
リスク
政策
及び
規制
GHG排出の価格付け進行
GHG排出量の報告義務の強化
炭素税の導入により、エネルギーコスト、調達コスト、輸送(物流)コストが増加する。
既存製品/サービスに対する義務化/規制化 環境関連法規制の強化により、調達リスク及びコストが増加する。
プラスチック規制が強化され、当社製品の脱プラ化が進展しない場合、欧州を中心に市場から締め出される。
技術 低炭素技術への移行に伴う先行コスト 環境負荷の低い素材や技術への投資を行うための開発コストや設備投資コストが増加する。
物理的
リスク
急性 サイクロンや洪水などの異常気象の重大性と頻度の上昇、山火事の可能性と重大性の上昇 大規模な自然災害(台風・豪雨・洪水・山火事など)により、当社の操業が停滞することで、製品の安定供給が困難になり、売上が減少する。
機会 資源の
効率
効率的な輸送手段の利用、効率的な生産・流通プロセス 効率的な生産・流通プロセスの利用により、生産コスト、輸送コスト、保管コストを削減することができる。
省エネルギー化によりエネルギーコストを削減できる。
再生利用(リサイクリング)の利用 製品部材や包装資材の再生利用(リサイクリング)により、必要原材料量が減少し、原材料コストを削減することができる。
製品
及び
サービス
低炭素製品/サービスの開発、拡大 R&Dとイノベーションを通じた新製品・サービス開発 歯科医療現場の効率化やCO2排出量削減に寄与する製品の開発により、当社関連製品の売上が増加する。
レジリエンス 再生可能エネルギープログラムへの参加、省エネ対策の採用 生産拠点の再配置と、再生可能エネルギーを含む調達エネルギー源の分散を推進することで、災害及び系統電力の事故発生時のレジリエンスの向上(事業継続、エネルギー調達コスト上昇の抑制)が期待できる。

※GHG(Greenhouse Gas):温室効果ガス

※4℃シナリオは温室効果ガスの排出や環境への規制がない世界を想定しているため、リスク及び機会内容によっては算定、評価をしておりません。

対応策

■ 特定したリスク及び機会に対する中長期の対応策につきましては、継続的な実施と効果評価を行い、事業活動のレジリエンスを高めてまいります。

対応策 具体的内容
脱炭素社会に適応するエネルギー利用の推進
  • 省エネルギー施策の推進
  • 再生可能エネルギーの活用
  • 効率的な生産・物流体制の構築
歯科医療への貢献と脱炭素への取組みの両立
  • 環境配慮製品の開発及び販売の推進
  • 包装容器の省資源化
自然災害の甚大化に対応する事業基盤の整備
  • BCPの整備
  • サプライヤー及び物流業者との連携強化
  • 生産拠点の再配置の推進
環境規制への適切な対応
  • 環境規制動向のモニタリング、対応策の検討

リスク管理

  • 当社グループでは、サステナビリティ関連のリスク及び機会の識別、優先的に対応すべきリスク及び機会の絞り込みについて、主に委員会で検討を行っております。
  • 委員会では、サステナビリティ関連のリスク及び機会への対応状況をモニタリングし、その内容を取締役会に報告します。
  • 気候変動関連のリスク及び機会は、下記1~5の活動で管理し、定期的に見直します。
    • 気候変動関連のシナリオ分析
    • 短期・中期・長期の気候関連のリスク及び機会の特定
    • 特定された重要な気候関連のリスク及び機会に対する戦略的な取組方針の決定
    • 気候関連リスク及び機会への具体的な対応策の検討
    • 気候関連リスク及び機会の対応策実行、進捗管理
  • モニタリング結果に基づいて必要な対策を講じるなど、経営の影響度に応じた機動的かつ最適な対応がとれる体制を構築しております。また、気候変動に関わる重要なリスクにつきましても、常務会へ報告を行い、全社リスクとの連携を図っております。

指標と目標

  • 当社グループでは2021年度より事業活動におけるCO2排出量(以下、「 Scope1、2 」という。)の把握に取り組み始めました。
  • 当社グループは2021年度のScope1、2を基準値として、 温室効果ガス排出量の削減に向け、当社グループのScope1、2削減目標を以下のとおり設定しております。
    「2030年度Scope1、2 27%削減(2021年度比)」
    「2050年度までにカーボンニュートラルの実現」
  • 材料の調達や販売した製品の廃棄なども含んだサプライチェーンのCO2排出量(Scope3)につきましても今後把握を進めると共に、「脱炭素社会に適応するエネルギー利用の推進」、「歯科医療への貢献と脱炭素への取組みの両立」を通じて削減に貢献してまいります。
Scope1、2の実績と削減目標
  • 材料の調達や販売した製品の廃棄なども含んだサプライチェーンのCO2排出量(Scope3)につきましても今後把握を進めると共に、「脱炭素社会に適応するエネルギー利用の推進」、「歯科医療への貢献と脱炭素への取組みの両立」を通じて削減に貢献してまいります。